記憶をなくした海
「諒とは、ずっと一緒に居たいの。末永く仲良しで居たいのに、このままお互いに、他の誰かを全く知らないことで悔やむとしたら…それってなんだか悲しいじゃない?イスラム教徒でもないのに、一人しか知らないなんて残念、なんて思うようになっちゃうとね」

「寧々は…俺が他の誰かと寝ても、独身の間なら構わないってことか?」

「本音を言えば、やっぱり嫌よ。でも、そこは敢えてお互い様ってことにして、セックスはしても本気の恋はしないっていうルールさえあれば、案外サッパリしたものなんじゃないかな、って」

私だって、理想を言えば、このままお互いしか知らなくてもずっと幸せならいいのに…と思う。

しかし、それがやはり難しいこととなってくると、結婚してから本物の泥沼になったり、泥沼にならなくても、諒にずっと悔やみ続けられることは、もっとつらい。
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