あなたの居る未来が欲しかった
「緒方…どうしたんだよ?」

確かに、その時の私は、どうかしていたと思う。

乱暴に制服を脱ぎ捨て下着姿になり、彼の服も脱がせようとすると、流石に戸倉も慌てて、

「ちょっと待てって…!少し落ち着けよ」

「何よ…こうするつもりで家に誘ってくれたんじゃないの?」

「違う!誰にも聞かれたくない話があるって言うからだよ」

私は、恥ずかしさのあまり、顔を覆って彼の隣に座る。

「本当に、どうしたんだ?ホラ…服着なよ」

初恋の人とは結ばれないと聞いたことがある。

まさに、そういうことなのだろうか。

「昨日ね…母親に交換日記を焼き捨てられた上に、父親からは、私は将来、見合いで外科医と結婚するんだって言われてね」

吐き捨てるように言うと、

「つまり、俺との未来はないってことか…?」

私は黙って頷く。

「だからね…戸倉と既成事実作ってしまえばいいかと思ったの」
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