あなたの居る未来が欲しかった
「相変わらず、緒方は危なっかしいから、久々に会えたのに心配で仕方ないよ」

笑いながら言われ、ついムッとしてしまう。

「私より、他の可愛い誰かさんの心配したら?」

久々に会えたのに、こんなつっけんどんな言い方をするなんて、私は本当に可愛げがない。

「他の可愛い誰かさんって…そんなの居ないし。6年前、俺があの日のアクシデントのことを謝ろうと思っても、緒方は転校したって担任に聞かされて、意味がわからなかったよ…」

「あの日のアクシデントって?」

戸倉は、駅員の制服のズボンの裾をそっと捲った。

古傷なのだろうけれど、かなり酷い怪我だったということは、見れば判る。

「こんな傷が全身にあって、とても人に見せられやしないよ」

少し悲しげに戸倉は笑う。

「どういうこと…?」

胸騒ぎをおさえるよう、尋ねてみる。
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