あなたの居る未来が欲しかった
「あの日…俺は待ち合わせ場所に向かってたんだ。雪でバスが遅れて、急いで大通りを渡ろうとしたら、車にはねられてしまった、ってわけ」

「そんな…!」

私は、自分の顔が青ざめていくのを感じた。

戸倉は、約束を守ろうとしてくれたのだ。

その結果、事故にあって大怪我を…。

「ごめん…なさい…!」

裏切られたと思い込んでいたこと、そして、こんな傷を負わせたこと…謝って許されるようなことではないが。

「いいんだ。実際、辿り着けなかったんだから、裏切られたと思われても無理はないし。緒方こそ、結局どうしたの?本当に見合い結婚させられた…?」

「まさに今日、その見合いだった。でも、途中で逃げ出したの。行くあてもないのに。そう言えば昔、この温泉街に戸倉と駆け落ちしようとしてたよね」

「うん…。えっ、見合いの途中で逃げ出した!?」
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