あなたの居る未来が欲しかった
「だから、こんな風に話せるようになって、凄く嬉しいんだ。遠くから見てるより、話してみて、ますます…好きになったから」

その言葉に、落雷のようなものを感じた。

「緒方。もし、俺でよかったら付き合って欲しい」

「俺でよかったら、なんて…私だって、戸倉のこと好きだもの。他の人なんて有り得ないでしょう?」

互いの想いを知ったその日、初めて二人で帰った。

付き合い始めてからは、部活中の戸倉を、こっそり見に行ったりもした。

弓道部の戸倉の、真剣な横顔に見惚れながら。

戸倉は部活で帰りが遅くなることだし、私も何か部活やろうかな…と、いちばん楽そうなアマチュア無線部を選んだ。

幽霊部員ばかりで、実際の活動は殆どなかったので、本を読みながら時間を潰していた。

道場の近くで戸倉を待ち、彼はいつも、少し慌てて私のもとへ来てくれた。

「ごめん、待った?」

「ううん」
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