あなたの居る未来が欲しかった
そんな日々に暗雲が立ち込めたのは、ある日突然、母親が鬼の形相で、

「これは何?」

何冊にも渡る交換日記を持っていた。

「返してよ!」

「あなたがそんな軽薄な娘とは思わなかったわ!高校生のくせに、恋愛ですって?」

高校生が恋愛してはいけないなんて、時代錯誤も甚だしい。

激怒した母は、交換日記を全部まとめて、暖炉の炎の中に放り込んだ。

「何てことするの!」

慌てて取り出そうにも、熱くてとても無理だ。

私は、部屋に戻って慟哭した。

その夜、父から告げられたのは、

「お前は将来、優秀な外科医と見合いで結婚する。恋愛など厳禁だ。わかったな?」

「は…?冗談でしょ?今の時代に」

「仕方がないだろう。子供はお前一人なのだから」

「それ、跡継ぎが欲しいってこと?」

「わかりきったことを言わせるな」

わかりきったことと言われても、何処が?としか思えない。
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