あなたの居る未来が欲しかった
「あぁ、そう!じゃあ、私が外科医になりさえすれば、そんな不毛な結婚しなくていいのね?」

すると、両親は私を鼻で笑った。

「その成績で外科医になれたら、世の中は外科医だらけだな。お前は薬剤師が関の山だろう」

この両親には何を言っても無駄なだけだと思った。

ブルーな気持ちで登校すると、いつもの笑顔で戸倉は、

「おはよう」

そう言ってくれても、うまく笑顔が作れない。

「元気ないな…どうした?」

「あとで、話があるの。誰も居ない場所で話したい」

神妙な面持ちで、戸倉は頷いた。

放課後、たまたま今日は戸倉のご両親が不在だということで、初めて彼の家を訪ねた。

「なんか、ちょっと照れるよな」

呑気に言う戸倉の顔を引き寄せると、私は強引にキスをした。

戸倉とは、軽く触れるだけのキスを一度しただけなので、彼はギョッとしている。
< 9 / 22 >

この作品をシェア

pagetop