姫と僕〜僕達は盲目的に想い合う〜
「――――アキ!お待た……え!?一基!?」

「お疲れ〜」

「一基、どうし……
――――――!!!?」

嵐人の目線は、二人の手元に行く。
何故か、手を繋いでいたからだ。

一基は少しムッとして、その繋いでいる方の秋穂の手を奪うように取った。

「どうして、手を繋いでたの?」
秋穂の手をギュッと握りしめ言う。

「あ…知らない男の人に声かけられて、一基くんが助けてくれたの」

「そう!ナンパを俺が、助けたの!」

「そう。ありがとう、一基。
じゃあ、僕達行くから」

そう言って秋穂の手を引き、行こうとする。

すると、一基が少し声を張り上げ言った。
「あ、ねぇ!
今日夜、みんなで飲みに行くんだけど、ランと秋ちゃんも来なよ!」

「は?」
「え?」

「ね?たまには、みんなで飲もうよ〜!」

「えーと…嵐くんが行くなら……」
「………」

「ラン、来てよ〜」

「でも、アキはお酒あんま飲めないよ」

「いいよ!
ノンアルも豊富だし、他にも飲めない奴いるし!」

「………」

不満そうに顔を歪める嵐人に、一基が近づき耳打ちする。
“そうやって避けてばっかいるんなら、本当にランのバイト中、こっそり秋ちゃんを連れ出すよ?”

「――――!!!?」

「ね?行こうよ、ラン〜!」

「…………わかったよ…」

「やった!」

「でも一度帰って着替えて、荷物も置きたいから、何処の店か連絡ちょうだい」

「わかったぁ〜!
じゃあ、秋ちゃん後からね!」

「うん」
小さく手を振り合い、一度別れた。


自宅マンションに帰り、弁当等を片付ける。
「アキ、着替えよ?」

「え?どうして?」

「その格好はやめておこ?
胸元があいてるから。
ワンピースあったよね?
首元にボタンのついたやつ」

「でも、袖がないし…
さすが夜は寒いよ…」

「え?もちろん、上は羽織るんだよ。
そのままなんてダメだよ!」

「嵐くん、どうしちゃったの?
なんか…最近、おかしいよ?」

「そう?
ただ僕は、アキが大好きなだけだよ」

「うん。私も大好きだよ!」

「うん!
あと、アクセサリーはブレスレットにしようね!」
そう言って、せっせと秋穂のネックレスを外し、ペアのブレスレットをつけた。
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