姫と僕〜僕達は盲目的に想い合う〜
一基から送られたURLを確認しながら、居酒屋に向かう。

「………ここ…かな?」
「うん」

中に入り、店員に案内される。

座敷席の引き戸を開ける。
「おっ!ラン!秋ちゃん来た〜!」
「こっち、こっち!」

男女合わせて、全部で十人程の友人達がいた。

「こんな沢山……」
思わず、秋穂が呟く。

秋穂の頭の中では、一基を入れて二・三人だと思っていたからだ。

奥の真ん中の席に誘導される。
「あ…端の方がいいな…」

遠慮がちにそう言うと、一基に「ダメー!俺の横に来て?ランもいるからいいでしょ?」と却下された。

一基の隣に座る。
秋穂は、手を握ったまま嵐人に寄り添った。

「―――――はい!まずは、飲み物からね〜」

「秋ちゃん、どうする?
ノンアルだよね?」

「あ、最初の一杯は飲むよ。
後は、アルコールなしで……」

「無理しなくて大丈夫だよ?」

「ううん。飲み会だし…」

「そう?
じゃあ…カシスオレンジとか?」

「うん、それで」

「ランは?」

「瓶ビール頼むんでしょ?
だったら、僕はそれでいいよ」

「ん!了解〜」

飲み物が来て、乾杯をした。
大皿に色んな料理が運ばれてくる。

秋穂は、それを取り分けようとする。
「あー、秋ちゃん大丈夫だよ!
置いてて!」

「え?でも……」

「気を遣わないで大丈夫だよ!
食べたい奴が“自分で取る”システムにしてるから!
秋ちゃんが食べたいのを取って?」

「うん、じゃあ…
嵐くん、どれ食べる?」

「とりあえず、近くにあるものを食べようか?
一緒に食べよ?」

「うん」
秋穂は頷き、少し多めに取れる物を取り皿に入れた。


「秋穂ちゃんと嵐人くんは、いつから付き合ってんの?」

みんなの興味は“秋穂”

色んな質問が飛び交う。

「あ…高校生の時です」

「へぇー!
高校生ん時も可愛かったんだろうなぁ〜」

「めっちゃ可愛かった!!
な?ラン!」

「うん、そうだね」
 
「でもー、ランは最初彼女いたよな?」

「うん、高一の二学期入る前までね」


「てことは……秋穂ちゃんを好きになったから、別れたの?」
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