姫と僕〜僕達は盲目的に想い合う〜
「うおっ…きったねぇー!!」
「冷たーい!!」

「秋ちゃん、大丈夫!?」
「う、うん。
一基くんも、大丈夫?」

「なんとか…」
「びしょびしょ…」
二人とも、完全に濡れてしまっていた。

「苔、きたねぇ…!!」
「せっかくの服が…」

「………」
「………」

「プッ…!」
「フフ…!」
顔を見合わせ噴き出す、二人。
そして、笑い出した。

「とりあえず、上がろ?(笑)」
「うん(笑)」

陸に上がりハンカチで拭こうとするが、ハンカチも濡れてしまっていた。

「ごめんね、私が滑ったから…」
「ううん、大丈夫!
今は夏で暑いし、涼しいくらい(笑)
……………」

謝る秋穂に、微笑んだ一基。
少しフリーズして、来ていたシャツを脱いだ。

そのシャツを絞り、秋穂の肩にかける。

「え?一基くん?」

「濡れてて気持ち悪いだろうけど、着てて?」

「え…でも…」
脱いで返そうとする。

「あ!//////ダメだって!着てて!!」

「でも、一基くんタンクトップだよ?
さすがに身体冷える……」

「いや、ほんとマジで!!/////」
妙に、一基の顔が赤い。

一基の目線の先を辿ると………

「……/////」
濡れて、服が透けて下着のあとがくっきり見えていた。

「ご、ごめん!!!」
秋穂は慌てて、一基のシャツで隠す。

「ううん//////とりあえず、帰ろ?
ランが帰ってくるだろうし…」

二人は、顔を赤くしながら駐車場に向かった。

どことなくぎこちなくなりながら、秋穂のマンション前まで送った一基。

「………ありがとう。
シャツ…洗って返すね」

「うん」

「みっともないところ見せてごめんね。
今日は、本当にありがとう!」

「ううん。
……………あの…さ…」

「ん?」

「俺―――――」
「アキ!!!?」

そこに、嵐人の鋭く刺すような呼び声が聞こえてきた。

「え……あ…嵐くん!」

「アキ!?どうしたの!?
びしょ濡れじゃないか!?
それにこのシャツ……一基のだよね?
濡てるよ?
僕のシャツ羽織りなよ!」

そう言って、一基のシャツを取ろうとする。

「あ!嵐くん、ダメ!!」

「え?どうして?
一基のシャツ、濡れてるんだから意味ないでしょ?」

秋穂が、よりによって“一基のシャツを着ている”
その事実が、嵐人にとって苦痛でしかない。

とにかく、このシャツを剥ぎ取りたい……!

そんな思いで、無理矢理剥ぎ取った。

「やめて!!!」
「ちょっ…ラン…!!?」

「――――――!!!?
…………アキ…これ…///////」
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