姫と僕〜僕達は盲目的に想い合う〜
高校一年の夏休みを、半分過ぎた日。

ヒカリに別れを告げられ、僕は自分の気持ちを改めて考えていた。

“嵐人はいつも誰をみてるの?”

ベッドに仰向けになり、天井を見上げる。

“私は、秋穂ちゃんじゃない”

「アキ…」
無意識に、アキの名前を呟く。

すると………
スマホの着信音が響いた。  

画面には“飛河 秋穂”の文字。
僕は、食い入るようにスマホをとった。

「…………もしもし!?アキ!?どうしたの!?」

『あ、嵐くん?
ごめんね、今忙しい?』

「ううん、大丈夫だよ!」

嬉しい!
アキが連絡をくれた!

『ちょっと、相談があるの…
少し、時間もらえない?』

「もちろん!」

“アキに会える!”
心が、弾んでいた。

僕達は、近くの公園に向かった。
「アキ、相談って?」

「うん…
あのね…」

少し、モジモジしているアキ。
可愛い――――

「ん?」

「隣のクラスのノダくんにね、告白されたの」

「………は?」

今、何…て……?

「それでね。
私も、前を向かなきゃでしょ?
だから、お付き合いしようと思って!
ノダくんもね。
嵐くんを無理して諦めなくていいよって言ってくれてるの。
ゆっくり、僕のことを意識してくれればいいよって!
そうゆうのって、言葉に甘えていいのかな?
ほら私、お付き合いしたことないからわからなくて……
嵐くんは、どう思う?」

「………」

ダメだ。

「嵐くん?」

「………」

ダメだ、アキ…!

「嵐くん!どうしたの?」

「ダメだよ、アキ」

「へ?」

「すぐ、断わって?」

アキは僕のなんだ。
誰にも渡さない……!!

「え?え?」

「好きでもないのに付き合うの、失礼だよ!!」

「え?でもね、ノダくんが………」

「でも!!
アキは、僕のことが好きなんでしょ!?」

ノダのモノになんかならないでよ……!

「そうだけど、嵐くんはヒカリちゃんと――――――」
「別れた!!」

「………え?」

「ヒカリとは別れたんだよ?
だから、僕は………」 

「どうして?」

「やっと、気付いたんだ…」

「え?」

「アキが、僕にとってどんな存在か」

「え?え?
嵐く――――――」

僕は、アキの手を取り抱き寄せた。
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