姫と僕〜僕達は盲目的に想い合う〜
「アキ、好きだよ…」

アキの肩に顔を埋めて、呟くように言った。

「………ほ、ほんと?」  
アキが僕の顔を覗き込んできた。
もう既に、アキの目は涙で濡れていた。

「ごめんね、アキ。
本当は、ずっとアキのこと好きだったんだ。
でも近くにい過ぎて、それが当たり前だったからわかってなかった……」

「うぅ…嵐くん!!」
僕の胸に顔を埋めるアキを、僕もギュッと抱き締めた。

そして僕達は、初めてのキスを交わした。


その日から僕達は、毎日会って沢山話をした。
幼なじみで、いつも近くにいて、何でも知り合えてるのに、話が尽きなかった。

日に日にアキへの想いが溢れて、止まらなくなっていった。

二学期に入って学校が始まってからも、登下校も、休み時間も、学校から帰っても……

僕はずっとアキの傍を離れなかった。

ずっとアキの傍にいたくて、アキに傍にいてもらいたくて、ずっとアキの傍でアキのために尽くしてきた。

アキを囲って、守って、まるで騎士のように………

その結果アキは……僕に依存を見せてきて、僕だけを頼るようになったんだ―――――――
――――――――……………


高校の頃の事を思い出して、僕は自嘲気味に笑った。

今気づいた――――――

「………僕のアキへの愛情って、こんな重いんだ…」
 
「は?何言ってるの?」
気づくと、ヒカリが怪訝そうに見上げていた。

「あ、ごめん(笑)」

「“また”秋穂ちゃんのこと考えてたでしょ!」

「え?」

「ニヤニヤしちゃって!
秋穂ちゃんのこと、ほんと好きなのね(笑)
…………てか!だったら、もっと早く気付けよ!!(笑)」

「あ…(笑)そうだね(笑)
そしたら、ヒカリを傷つけずに済んだよね。
ごめんね」

「別に(笑)
あの時も、さんざん謝ってもらったしいいよ!
それに……」

「ん?」  

「簡単に自分にとって一番大切な人をちゃんと見極められるなら、誰も苦労しない」

「そうだね(笑)」

「そんな事が出来るなら、世の中はもっと幸せだと思う!」

「フフ…確かに!」

「…………あ!それに、私ね。
来年結婚するの!」

「え?そうなの!?
おめでとう!」

「フフ…ありがとう!
嵐人は?」

「え?」


「結婚!
しないの?秋穂ちゃんと―――――――」
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