姫と僕〜僕達は盲目的に想い合う〜
「――――素敵な部屋だね!」

「でしょ?
ずっと気になってたホテルで、予約も一年以上埋まってる状態だったから、一昨年予約したんだ!」

「一昨年?
………ってことは…」

「大学一年の時だよ」

「そんな前から?」

「うん!
アキと付き合うようになって、絶対離れたくないと思ったから。
大学に入学して、アキを手放さないために何が出来るかなって考えて……」

「……っ…」

秋穂は目が潤み、涙を流していた。

「え?あ、アキ!?」

知らなかった。
一基に聞かされたこともだが、嵐くんがそこまで考えていたなんて……!

「嵐くん」

秋穂が、嵐人を見据える。

「ん?」

秋穂の目元を拭いながら、微笑む嵐人。

「私の話を聞いてくれる?」

「うん!」

「私は、嵐くんのことが誰よりも大好きです!」

「うん!僕も!」

「将来は、嵐くんの結婚したいと思ってる!」

「うん!」

「だからね……」

「ん?」

「来年は実家に帰って、実家から大学に通おうと思うの」

「え……どう…し――――――」
思わず、息を呑むように秋穂に掴みかかろうとする嵐人。

「あ!待って!最後まで聞いて?」

「う、うん…」

「その理由はね。
“花嫁修業したいの”」

「え?」

「嵐くんが私と結婚しようと思ってくれた時に、私は完璧に専業主婦出来るように!」

「アキ…」

「私、頑張るから!
嵐くんを支えられるような、素敵な奥さんになる!!」

「アキ。
…………うん、わかった!
嬉しいよ!
じゃあ…僕からも、いいかな?」

「ん?」

嵐人が、バッグから小さなプレゼントを出す。
中身は、指輪。

「え……嵐くん…これ…//////」

「アキ、予約させてほしい…!」

「え?」

「僕も、アキのことが大好きだよ!
アキを僕のお嫁さんにしたいくらいに!
……………だからね。
大学卒業して、就職して、一年後。
僕のお嫁さんになってください……!」

「……/////」

「それまで、僕も頑張るから!
僕に頑張れる力をちょうだい?
“比嘉 嵐人の未来の奥さん”ってゆう確定」

「はい!!」


秋穂は、満面の笑みで大きく頷いた。
< 36 / 37 >

この作品をシェア

pagetop