姫と僕〜僕達は盲目的に想い合う〜
大学を出て、駅まで嵐人達はズラズラと歩いていく。

「―――――あ!そうだ!
秋ちゃん!」
積極的に秋穂に話しかける、一基。

「ん?」

「今年のミスコン、エントリーしなよ!」

「え!?
し、しないよ…」
ぶるぶる首を横に振る、秋穂。

「えー!絶対、取れるよ!グランプリ!」

「……しない…」
イヤイヤと首を横に振り、嵐人にしがみつくようにして隠れた。

「やめてよ、一基。
アキ、嫌がってるでしょ?」
嵐人も秋穂を隠すように一基を見据え、鋭い視線を送り言う。

「わかった…
ごめんね、秋ちゃん」

駅に着き……
再度謝ってくる一基に「大丈夫だよ!」と微笑み、手を振って別れた。
 
「アキ、大丈夫?」
「うん」

「一基も、悪気はないと思うんだ」
「大丈夫だよ!
私が人前に出れないのが悪いんだし(笑)」

「うーん…
というより……」
「ん?」

「“僕が”嫌だな」

「え?」

「例えば、アキが人前に出ることに抵抗がなくて“エントリーする”って言われたら、僕はきっと反対すると思うんだ」

「そうなの?」

「うん。アキは僕の彼女だから……!」

「うん…//////」

「………って、ひいた?」

「え?ううん!」

「良かった!」

「フフ…ひかないよ?
嬉しい!」
その後もずっと秋穂は、嬉しそうに笑っていた。


自宅マンションに着く。
すると、秋穂が抱きついてきた。

「はぁ…安心する…」
そう呟きながら……
嵐人も、ゆっくり頭を撫でた。

「家の中が、一番落ち着く…!」
そう言って笑う秋穂。

嵐人はその笑顔が一番好きだ。
秋穂が“本心から”心を許している証拠で、自分だけ見せてくれる笑顔だから。

最近、日に日に秋穂への独占欲が膨らんでいる嵐人。

溢れる想いが、止められなくなっていく。

秋穂を抱き締めた、嵐人。
「ねぇ、アキ…」
「ん?」

「今日、一緒にお風呂入ろ?」

「え?
ど、どうしたの?」
慌てたように見上げる、秋穂。

「んー“そうゆう”気分だから!」

「……/////」

「ダメかな?」
頬に触れ、顔を覗き込んだ。

「う、ううん…//////
ダメじゃない…よ?//////」
照れたように言うと、嵐人は嬉しそうに笑った。
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