二人の想い ~素直になれない~
仕事終わり、何時ものように電話を掛けると、「何も要らないから早く帰っておいで」と言われて。

もう会わないと思ってた。
そう思ってた彼がリビングで緊張して座っている。

「お母様から夕食をご招待されて」
まったく何を考えているのか判らない。
「裕斗じゃなくて…、本当ごめん」
どうして謝るの?
今日は強引に誘われた被害者でしょ。

この人は何も悪くないのによく謝ってるなぁ。
私と同じで自分に自信が無いんじゃないかな。
いや、私以上に比べられる人がそばにいるから。

「こちらこそごめんなさい
きっと強引に母がお誘いしたんでしょ」
少し親近感がわいたし、母のお節介にはほとほと困りものだ。

少しずつ、本当にほんの少しづつ会話が交わせるようになった。

帰りには
「ご馳走様でした
次は裕斗の都合を聞いておきます」と。

やっぱり、自分が誘われたんじゃ無いと思っているみたい。
我が家にとって二人とも違いはないのに。



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