二人の想い ~素直になれない~
大学生の時に父が脳梗塞で倒れた。
後遺症が残り、母と一緒に介護した。
就活時期と重なり、みんなとは出遅れた。
もともとそんな真剣に就活をしていたわけでは無いけれど。
働くつもりはあったんだ。

年を取ってからの一人娘。
絵に描いたように大切に育てられた。
マンションや駐車場など不労所得が有ったから、働かなくても介護に専念出来た。
もともと友達は多くなく、今はいない。
正直、人付き合いもあまり得意ではない。

卒業とほぼ同時に父が亡くなった。
その時相続でお世話になった先生が今働いている税理士事務所の先生だ。

9時から5時までのアルバイト。
働くつもりはあったけど、就活のタイミングを逃して『まあ良いかなぁ』と呑気に過ごしてた。

ある日突然『働かざる者食うべからず』と母に言われた。
本心じゃ無いのは判ってる。
きっとだらだらした毎日を過ごしてたのを心配したんだと思う。

規則正しい生活、三食食べて、お小遣いくらいは自分で何とかしなさいと。

お見合いも何度かした。
でも今、母との生活が一番楽で良い。


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