二人の想い   ~素直になれない~
普通の居酒屋。
案外誰も気づいてない。
「好きなだけ食べても良いけど、呑むのは程々にね」
なんか笑ってる。
嫌みを言われてるのになぜか腹は立たない。

「…、て言うか、あまり他の人と呑みに行ってほしくない」
他の人とって言う事は愛斗さんとなら良いの?
今日はまだ一滴も呑んでないのに頭が回らない。

「ひとり暮らしで外食が多いからたまに付き合って貰うと嬉しい」
付き合って貰うと…、いやいや外食だよね。
でも私で嬉しいの?

「用事が無くても連絡して良い?
俺はもらうと嬉しいけど」
これはなんて返せば良いのか…。
もちろん嫌じゃない。

「困らせるつもりはないんだけど」
「いや、困ってない。
困ってないけど…、なんて言ったら良いか…」
「ぷっ、ごめん。
やっぱり困らせたんだ」
日本語って難しい。
「連絡して下さい。私もしますから」
なにも食べずに目の前の果実酒を一気に飲んだ。

「祥子さんって、飽きないね」
「???」
私また何かやらかしましたか?

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