二人の想い   ~素直になれない~
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そんな時、裕斗から電話が入った。
「なる早で双子のこと公表するけど問題ない?」
まったく問題ない。
いい大人が個々の責任を持って生きている。
俺もその方が都合が良い。

目の前の酔っ払いに言った。
「悪いことをしてないなら堂々とすれば良いんだよね。
明日になって忘れてもらっちゃ困るけど、俺と付き合って貰えませんか?」
勢いで言ってみた。
勢いが無ければ中々言うことが出来ないと思う。

豆鉄砲を食らったような顔をしてじっと見ている。
突然すぎたよなぁ。

「酔っ払ってないし、忘れません
ただ、付き合うって、ご飯とか外食の事とかじゃないんですよね?」

予想外の返事に緊張が一気にほぐれた。
やっぱり好きだわ。

「俺と、『木本愛斗』と結婚を前提にお付き合いして貰えませんか?」

子供が泣くようなぐちゃぐちゃな顔をして頭を縦にぶんぶん振ってる。

失敗した。
このまま帰したくないけど、さっきお母様に連絡したから帰さないと。

彼女を送り届け、
「後日、改めて挨拶に伺います」と。

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