二人の想い   ~素直になれない~
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本当はそこまで考えてなかった。
愛斗さん達に迷惑がかかる事なんて。
ただ愛斗さんと一緒に行きたかっただけなんだけどなぁ。
愛斗さんは、私がわがままを言って呆れているだろうな。
嫌われてないか、もしかして別れるなんて言われないか心配になってきた。
だから『お付き合いさせてください』と言う挨拶もしなかったんだ。

玄関まで送ったとき、大きなため息。
「日にちが決まれば連絡するから
祥子さんのホテルと新幹線のチケットは俺が取っておくから」
別れを切り出されなくて良かった…。
最後には頭の上に手を乗せてくしゃくしゃと撫で頬と口の間、ぎりぎり口にキスして、ニカッと笑って帰っていった。

初めての二人での旅行。
かなり浮かれている私は理由は何であれ、楽しみになってきた。

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