重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 だから、血筋を残すという大切な仕事を十分に終えていた国王であるお父様は、私が生まれる時に女の子がどうしても欲しかったらしい。

 そして、私が産まれた時に感激のあまり手に持っていた国宝級の硝子細工を落として壊し、後々言い伝えられる大騒ぎになってしまったのは産まれた赤子……つまり、私のせいではないと思う。

 産後の肥立ちが悪く、正妃であるお母さまが幼い私を残して亡くなられてしまってから、お父様の溺愛ぶりは度を越してしまったようだった。

 長子のラインハルトお兄様を始め、異母兄のフランツお兄様とジャンお兄様も、そんなお父様と同じように、末姫の私を猫っ可愛がりしていると言っても、それは過言ではない。

 結婚適齢期になっている王族の私には、通常であれば幼い頃より周辺の友好国でお父様やその跡継ぎのお兄様が有利になる政治的な繋がりをより強力にする、年齢が釣り合い地位が高い婚約者が居るはずだった。

 何故、この年齢になっていても、そんな婚約者が居ないかというと、お父様もお兄様たちも私には愛のない結婚などさせられないとんでもないと、口を揃えて言っているからだ。

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