重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 あれからすぐに代替わりして、今ではこれまでがなんだったのかと思ってしまうほどに低姿勢で友好的になったとは聞いていた。

「姫がダムギュアの王太子の来訪についてご存知ないとは、思っていませんでした。僕はてっきり未婚の王太子が、姫に求婚しに来たのだと思っていたので」

 サミュエルは、どこか言い難そうだ。きっと彼も両親から、私からの関心を勝ち取れと言われているはず。

 確かに現実的な話をするならば、色んな意味で彼が私の降嫁先としては最適なのかもしれない。

 当人たちの気持ちが全く関係ないと、仮定するならば。

「……きっと、それだわ……実は私への縁談は本人のところに来るまでに、何人かに精査されるのよ。それで、私には何も知らされなかったのね。きっと、サミュエル様が言ってくれなかったら、知らないままだったわ。ありがとう」

 踊りながら周囲を見渡してみたけど、ユンカナンの王城にある大広間はその名の通りとても広い。

 前もって言われていなければ、きっと私はダムギュアの王太子を見つけることは叶うまい。

「姫。待ち人が、来たようですよ」

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