重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 ダンスを踊り終わって、サミュエル様が意味ありげに目配せをした。

 彼の示す方向を見た途端に、私はわかりやすく喜んでしまったと思う。そうした態度の落差を彼に見せてしまうことはいけないことだとわかりつつも。

 どうしても隠せなかった。

「ありがとう。サミュエル様」

 私は穏やかな笑みを浮かべるサミュエル様にカーテシーをして、身を翻した。

 どんなに駆け足になってしまうことは、作法上この会場の中では許されない。けれど、心が駆け出して早る気持ちが抑えられない。

 目の前には我が国の騎士団長が、勢揃いしていた。

 もちろん……その中には、私が待ちに待っていた獣騎士団長デュークの姿もあったのだ。


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