重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「俺の毛はこんなに……綺麗な黒ですかね。姫の目からそう見えるのであれば、ありがとうございます」

「ねえ。踊らない? せっかくだから……」

 私が踊りに誘えば身分の問題で、デュークは断れない。それがわかりながらも、彼にこう言ってしまう。

 私は本当に、自分勝手な王族だ。

「……喜んでお相手します。お誘いして下さって、ありがとうございます」

 騎士学校では、ダンスは必須授業だったはずだ。

 出自は貴族だけではないし、手柄を立てた騎士となれば、こうした上流階級の夜会にも出席することは十分に予想出来た。

 私は既に何度かデュークと踊ったことがある。エスコートはぎこちないけれど、元々の運動神経が良いから、とても踊りやすいのだ。

「……ねえ。獣人って『運命の番』が居るって本当なの?」

 獣人には運命的な唯一無二の存在が居るという。

 一度(ひとたび)出会ってしまったならば『運命の番』のことしか見られなくなってしまうというのだ。

 とてもロマンチックで、素敵な関係だと思う。

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