重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 けれど、今ここに居る私はデュークと結婚できるかもしれないという、大それた希望を持ってしまっていた。

「……困った顔をされている。すみません。僕は困らせるつもりはなかったのですが」

 私は彼の言葉に対し、一瞬慌てた。

 こうした貴族が集まる夜会で、本心がわかってしまうような明け透けな態度は、無作法だと取られてしまうものだ。

 けれど、この状況はどうしても誤魔化しきれない。

 それに、私が彼の元に嫁ぐことは出来ないから余計にだ。

 ルイ様は私が想定していたよりも、引き際を心得た紳士のようだ。私は言い難いながらも、そんな彼に対し理由を説明しなければと思った。

「本当に……ごめんなさい。私の結婚相手にルイ様に何か足りないという訳ではなくて……私には、今好きな人が居ます。その人以外とは、結婚を考えられなくて」

 王族には政略結婚ではない恋愛結婚は珍しい。彼もそう、思ったようだ。目を大きく見開き、興味深そうに頷いた。

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