重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「それは、とても素晴らしいです。恋をしている女性は、より魅力的に思えると聞きます。姫がこんなにお綺麗なのは、恋をしているからなんですね……失礼ですが、それは誰かお聞きしても?」

 ルイ様はこの会場中に居るのかと、言外に言っているんだと思う。

 けれど、彼の国のダムギュアでは、あまり獣人たちの地位は高くないと聞く。

 私はどうしても愛すべき国民にも数多い獣人を差別的に見る常識には、眉を顰めてしまう。けれど、誰しも居住している場所の常識で、考えが違ってしまうのは仕方のないことだ。

「それは、内緒です。素晴らしい方で……とっても、素敵なの。ルイ様にも、素敵な方が現れますように私も願っています」

「秘密ですか。それはそれは……とても、素敵な男性なのでしょうね」

 ルイ様は重ねて本人からも縁談を断られたことを悟りはしたものの、苦笑をしてそれを受け入れることを選んだようだった。

 そして、気持ちを切り替えたルイ様は私としばらくの間、当たり障りのない社交的な歓談をすることを選んだようだった。


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