重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~

18 誰

—————ここ数日というものの。

 私はデュークに、わかりやすく避けられているようだった。お父様から私との縁談について、聞いたのかもしれない。

 朝にいつものようにデュークの執務室に行っても、書類整理をしているマティアスが申し訳なさそうに『団長は今、大変な案件で動いておりまして』と謝られること数回。

 最初は多忙ならば仕方ないわよねと、前向きに考えることが出来ていたものの……これは、デュークに完全に避けられてしまっていると思い至った。

 気落ちはしてしまうものの、それも仕方ないとは思う。

 デュークだって王から娘はどうかという縁談を聞いて、これはもう関わりたくないと思ったのかもしれない。

 ユンカナン王国では王族と婚姻が許されているのは、伯爵位以上の家格にある者に限られている。

 何故かと言うと建国当時、王族の一人と結婚することで強い権力を持った貴族が勘違いをしてしまい傲慢に振る舞い、それが悲劇に悲劇を呼び、いくつかの家が取り潰されてしまう例などがあったからだ。

 なので、婚約すらしていない未婚の私も家臣に嫁ぐのであればある程度の爵位を持ち家格も申し分ない名家に嫁ぐことが望ましい。

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