重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 なので、年齢も釣り合うサミュエル様のヘンドリック侯爵家などは、とても良い嫁入り先だ。

 自分自身が要らぬ火種になってしまうことは私だって避けたい。

 闘技大会直後は興奮状態にあったからデュークに嫁ぎたいと言えたものの、言わなければずっとぬるま湯に浸かっていられたのにと、後悔するようになってしまっていた。

 今朝も肩透かしに遭ってしょんぼりと肩を落としながら、城の廊下を歩いていた。

 そして、見覚えのある人を見掛け、私は慌てて道を開けようと廊下の脇へと動いた。

 最高位の王族であれば道を開けるなど、あまりないことだ。

 けれど、友好関係にある他国の王太子が、こちらへと歩いて来るならば話は別だ。だって、ルイ様はいずれ一国の王になられる方だもの。

「これはこれはアリエル様。おはようございます。お会い出来て嬉しいです。あの夜会以来ですね」

 先日の夜会で初対面となった、ダムギュア王国王太子ルイ様だった。

「おはようございます。旅装にあるということは、もう帰国してしまうのですね。またお会い出来る日を楽しみにしております」

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