重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 私は残念だと本当に思ったので、カーテシーをして微笑んだ。

「……ええ。アリエル様に再度お会いしたいとお願いはしたのですが、お兄様からは妹は最近体調が悪いとお聞きしておりまして……こうして直接お会いすると、顔色も良いようで安心いたしました」

 ルイ様はにこにことして微笑み悪気は見えない。けど、そんな見え見えの断り文句を真に受けているはずはない。

 ……ラインハルトお兄様。断り文句と言えど、なんでそんなわかりやすい嘘をつくのかしら。縁談をお断りしたにせよ、少しくらい話しても良さそうなものなのに。

 私は内心にある動揺をひた隠すようにして、にっこりと微笑んだ。

「ええ。昨日までは伏せっていたのですが、こうしてルイ様の帰国のお見送りに間に合うことが出来て本当に良かったですわ」

 こうして、彼を見送ることが出来て良かったと思うのは、私の本心だ。

 遠路はるばる来てくれたと言うのに、縁談を断ってしまうことには心苦しい。ルイ様は優しげで親切に見えて、権威的で嫌だと思うような男性でもない。

「また、アリエル様にこうして、お会い出来る事を祈ってます……おや。彼は?」

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