重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~

03 守ってあげたい

 仏頂面しつつもちゃんと受け答えしてくれるデューク相手にひとしきり楽しく喋って満足してから、そろそろ帰る頃合いを見計らった私は、退出の挨拶をしてから彼の執務室を出た。

 私付きの侍女であるエボニーとアイボリーの二人も、歩く私の後に続く。

 私のような王族の姫が一人になれる時間など、産まれてからこれまでに、自らに与えられた宮以外ではほとんどないと言って良い。

 敵対している国からの暗殺や誘拐の危険。そして、自分では身を守る術を持たぬ姫であれば、より周囲は気を使ってしまうもの。

 侍女や召使い、護衛の騎士。一人になれるはずの入浴時だって、何かしらの理由を付けて、常に誰かが傍近くに居る。

——-本当に、嫌になってしまうくらいに。

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