重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 彼女の双子の片割れアイボリーは、一層機嫌を損ねてしまった私を宥めるようにして殊更優しい猫撫で声を出した。

「まあまあ、そう言わずに。姫。もし、王族が外出をすることになれば、騎士団長や要職にある者が警護の責任者として付き添うのが当たり前のことです。獅子が行かなければ、他の騎士団の団長が付いて来るでしょう」

「それは……そうだけど」

「そうならば、獅子でも他の誰かにしても同じことですわ。近隣の離宮にでも、行かれてみては? 姫の気分も晴れますし、とても良い事ですわ」

 アイボリーの言っていることは、確かにそうだった。

 彼女の言う通り、私がもしこの王都から離れるのなら、誘拐や襲撃の可能性もあり責任者となる誰かが付いて来てくれて然るべきだ。

「まあ……離宮に? そうね。私はあまり、王都からは出ていないから……けど、許して貰えるかしら」

 甘やかされている私とて、お父様やお兄様たちの許可を取らずに外出することは許されない。不安そうにそう言えば、二人は顔を見合わせて嬉しそうに頷いた。

「姫様でしたら、そう仰ると思っておりました!」

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