重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「ええ。本当に、良かったですわ! とても姫を心配されておりましたから」

 二人の言葉で、ようやく気が付いた。

 これは彼女たちの考えではなく、私に対しこれを提案しろと指示した過保護な王太子が背後に居ることに。


◇◆◇


「ねえ。デューク……私。離宮に行きたいんだけど」

「姫。見ての通り、俺……今、忙しいんすけど」

 盗賊対策に関して物々しい雰囲気の会議の休憩時間を見計らって彼に声を掛け、書類を読んでいたデュークは、私のお願いに対し困り顔になってしまった。

 このところ王都周辺を騒がせている不思議な盗賊の話は私だって聞いていた。

 けれど、彼らのアジトを突き留めていたとしても、まるで煙のように消えて逃げてしまうらしい。

 転移魔法を使った様子もなく、逃亡方法がわからなければ捕縛することも叶わない。早く捕まって欲しいという気持ちはあれど、捜査は暗礁に乗り上げているらしい。

 だから、デュークは消えてしまう盗賊の秘密がわからない限り、終わる事のない討伐任務についているのだ。

 長くなりそうな任務が終わるのを待っていれば、私は気持ちの上で枯れてしまうのかもしれない。

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