重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「……お嬢様方、俺が人よりも耳が良いことを忘れてないっすか。めっちゃ、キンキンするっす」

 三人全員で合わさった悲鳴は、性能の良い耳を持つ彼にはとっても辛かったようだ。

「ごっ……ごめんなさい!」

「……念の為の離宮全体の見回りや、点検など全て終わりました。敷地内であれば、護衛を付けて出歩いて貰って良いっすよ……あの……侍女なのに姫を一人にして良いんすか?」

 そそくさとこの場を去って行ったエボニーとアイボリーの背中を見て、デュークは不思議そうな顔をしていた。

 彼の言うとおり普通であれば、これはしてはいけない。

 侍女が主人を残して行くなんて、よっぽどのことだ。

 けど、あの二人がそうしたのは、お父様から何かを聞いたラインハルトお兄様の、デュークを私の夫にしたいとの意向を受けたものかもしれない。

 彼からはっきりとした話があったり、意思表示されたりはしていないけど、この離宮に来ることもデュークを警護の責任者にすることも、すんなりと行き過ぎて変だとは思っていた。

 デュークは、私との縁談を既に聞いている……?

 けれど、彼の態度は変化などもなく、いつも通りだ。

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