重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~

21 突然

 深い山中にある離宮とは言えど、年老いて公務から引退した王族の隠居にも使われていた。だから、塀に囲まれているとは言っても敷地は広い。

 観賞用に整えられた池へと辿り着き、私とデュークは小さな東屋に入り隣り合って椅子に座った。

 そして、王族としての権力を振り翳し彼をここまで連れて来てしまった罪悪感に耐えきれなくなった私は、デュークへと自白することにした。

「……デューク。ごめんなさい。実は私……最近、デュークに会えなくて……どうすれば良いかなって考えていたの。だから、外出する時の警護責任者になってもらう事にしたの。ごめんなさい」

 反省を込めて真面目に切り出した自白内容を聞いたデュークは、一瞬呆気に取られていたけど、すぐに楽しそうな大きな声で笑い出した。

「はははっ! 別に、良いんじゃないすか。そういう我が儘も、たまには。姫は自分に決められた通りの予算でやり繰りして浪費もしないし無茶も言いません。どこかの王族は悪いことをして謝罪せず素知らぬ顔なのに。姫は真面目っすね。貴族なんて嫌な奴ばかりなのに、そんなんで社交界生きて行けるんすか」

 頬杖をついたデュークは彼目線では真面目過ぎるらしい私を、心配そうに見つめた。

 この通り、ちゃんと生きているわよ。

「生きていけるわよ。あの、私。デュークに聞きたいことがあって!」

 このところ、お父様がデュークに私の縁談を話したのかそうでないのかで気になっていた私は、恐る恐る切り出した。

「あー……そういえば俺も、実は姫に会えたら聞きたいことあったっす」

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