重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 彼の動きを追いかけた視線の先、その先にあったもので何故飛び上がったのかを知った。

 大きな鳥。ううん。翼の生えた、人?

 彼らは空の上に三人居た。けれど、おかしい。獣人は確かに獣化するけれど、それは耳や尻尾などの部位を除けば獣の姿になってしまうはずだ。

 けれど、彼らは獣化途中のような、中途半端な姿で空を舞っていた。

 地上から信じられない高さまで跳んだデュークはその中の一人を地に伏すと、素早い動きで二人目を狙った。

 空を飛ぶ彼らもデュークがまさか、自分たちの居た高度まで辿り着けるとは思っていなかったらしい。

 一人は逃げるために慌てて飛び去っていった。

 二人目を地に伏せたデュークは、彼の服を咥え、先に捕らえていた一人目の所にまで余裕を持って歩き移動させた。

 空を飛行することの出来るはずなのに、デュークがここに居ればもう逃げられないことを知っていた。

 顔面蒼白で怯えたように、ただぶるぶると震えている。

 立派な黒い鬣を持つ大きな獅子デュークからは、どんな動きをしても逃げられないと本能的に悟っているのだろう。

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