重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「姫。もう、大丈夫っす。そろそろ、俺の部下が来るんで……」

 不審者の襲撃を察したのか、デュークの部下らしき護衛の騎士たち何人かが遠くから走って来るのが見えた。

 捕らえた二人は、デュークがひと睨みすれば、ヒイっと情けない悲鳴を上げた。

 戦闘時のデュークは聞きしに勝るほどの、圧倒的な強さだった。

 人型であった時も、相手に合わせた戦闘法であっさりと剣で倒していたけど、彼の本当の強さは美しい獣型にあるようだ。

「えっ……ええ。私は怪我もなく、大丈夫よ。助けてくれて、ありがとう」

 何人かの騎士たちが辿り着いて、手際よく不審者を縛り上げた。

 あっという間に背中の翼が失くなっていたので、あれはどうやら自分の意志で出し入れ自由みたいだ。

 本当に不思議。私は獣人たちの生態を勉強したけれど、翼を持つ種族でもあんな中途半端な姿にならないはずよ。

「……あの、姫。大丈夫っすか。立てます?」

 獣の口では声がどうしても出しにくいのか、低くくぐもった声を出すデュークが心配してくれた通りに、私は腰が抜けてしまったようで歩けない。

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