重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 全く自慢ではないけど、城からもあまり出たことのない箱入りの王族。

 唯一危険な目に遭ったと言えるのは、二年前にデュークに助けてもらった時だけだったのだ。

「そうね。大丈夫。少し休んで落ち着けば、大丈夫よ」

 デュークはそう言うと、大きな獅子の身体を縮めたようだった。

 伸縮自在なんだと、今更ながらに驚いた。獣人の生態などは学んでいるものの、彼らが戦闘のために闘っているところなど城を離れない私は見るべくもない。

「背中、乗れます? 大丈夫っすか?」

 腕を伸ばせば届くところに彼の首が来るように身体を傾けてくれたデュークの背に乗って、みっともなく腰を抜かしてしまった私は運ばれることになってしまった。


◇◆◇


 本人もまだ入っていない私用にと用意された部屋へと、デュークは迷うこともなく連れて来てくれた。

 けど、彼は警備責任者なんだからそれは当然だった。この離宮に危険がないかも、綿密に事前調査だってしているはずだ。

 それもこれも、デュークの仕事だからだ。

———-そう。すべて仕事だから。

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