重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 中身がデュークだとわかっているので、別に怖いという気持ちにならなかった。

 獣の顔に慣れていないせいか、妙に緊張感が増して、胸がどんどんと高鳴ってきた鼓動を刻む。

 彼の前脚で私の身体はあっという間に押し倒されて、気がつけばベッドの上でデュークを見上げる姿勢になっていた。

「……え? デューク? す、少し待って」

 さっき至近距離での生まれて初めての戦闘を見たせいか、私はもう腰が抜けてしまっていた。

 それもそうだったし肩の辺りを彼の前脚で押されているので、腕は動かない。

 これでは、抵抗しようにも出来ない。それに、デュークがこれから何をしようとして何を思っているのかもわからない。

————-未知の未来が、怖くてたまらない。

「……この前に、陛下に言われました。もし姫が欲しいなら、爵位を持つことを受け入れろと。貴族とか面倒そうだなとは、思ったんすけど……」

 私はそこで不意に黙り込んだデュークの言葉の続きを、固唾を呑んで待った。

 この流れで言うと、もしかして……お父様から申し入れた、私との縁談を受け入れてくれた?

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