重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 獣化する時に服を破ってしまっているので、当然彼は裸だ。見上げている私からは大事な場所は見えてないにしても、見えている範囲は肌色で。

 ついさっきとは打って変わって、やけに色気のある体勢に思えてしまった。

「姫。あのお忍びの時、お付きの魔法使いに、姿を変えるめくらましの魔法を掛けて貰ったんじゃないか?」

「……え。嘘。そんなことは、言われてないわ」

 急に馴れ馴れしい口調に変わったデュークは、デュークでありつつも違う誰かのようだ。

 仕事中ではなく、単なる私的な関係のデューク。

 そのことで、私は今までデュークなりには、かなり気を遣った対応をされていたのだと知れた……それもそうよね。私。王族だし。彼の大元の雇い主である、国を治める王の娘だし。

 気を使ってしまうのも無理はない。

「……俺だって毎日王都で、人助けしてる訳でもない。こんなに可愛いお嬢さんを助けたら……間違いなく覚えてるはず……けど、王族のお忍びなんて初対面の人間ばかりと会う。周囲の護衛が姫本人だと認識していれば、何の問題もない。顔が割れてない方が絶対に安全だ」

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