重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「そ、そうらしいわね……この前も、確かそれは聞いたわ」

 デュークの言葉に頷く私は王族として、国民である獣人の特性を聞いたりもしたけれど、ここまで細かい習性は知る由もない。

 獅子獣人には他の獣人たちもそうだろうけど、彼ら固有のルールがあるようだ。

「俺たち獅子獣人は、結婚すれば女性が日々の生活は賄うことが多い。だから、食わせて貰う立場の男が、女性とした約束を違えるって。俺たちにとっては、とても良くないことで……あの時……あの女の子。つまり、姫から、必ず会いに来るって言われてたし。そっちの気持ちが変わらなければ考えるって、俺もあの時に答えちゃってたんで」

 デュークは、なんとも例え難い難しい表情をしていた。

————-何かを悔いている? それとも、何かを怒ってる?

「え。嘘……あんな……なんでもない約束を、守ってくれてたの?」

 私は彼の言葉を聞いて、驚きしかなかった。

 人の常識からすれば、あんなちょっとした約束なんて破ってしまっても仕方ない。だって、私たち顔を合わせたのも、ほんの少しの時間だったし。あの時点では知り合いっていうのも、危うい範囲だ。

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