重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「……姫も、そろそろご自身の身分と立場を、弁えてください。奴は、庶民出身です。態度も大きくて言葉遣いも酷い。目上の者に対する礼儀も何もなっていない。この国でも最上位に高貴な姫様には、まったく相応しくありません」

「あら! どういうことかしら? 私はナッシュ団長のことなら、きっと上司の貴方よりも詳しく良く知っていてよ。もしかして、私がそれを知らないままに、彼をただ気に入っているとでも、思っていたのかしら?」

 あくまで悪気のない無邪気な様子でそう聞けば、ヘンドリック大臣は大きくため息をついた。

「いいえ。これは、決して自分の身内を薦める訳ではありませんが……出来れば我が息子のような、間違いのなく姫に合う伴侶を最終的にはお選びいただけますように。一臣下として、切に願っております」

「ヘンドリック公爵令息のサミュエル様は、この国の社交界でも人気でとても有名ですもの。もちろん、私も知っているわ。本当に素敵な息子さんですね。ヘンドリック大臣の奥様も、とても美しい方ですものね」

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