重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 彼女は陛下や三人の殿下たちにとって、まごうことなく掌中の珠だからだ。彼女自身が竜の身体に存在するという、それに触れれば怒りを買う逆鱗のようなもの。

 ユンカナン王国では至上の権力者たる彼らに逆らえば、どうなるのか。

 それは、見目麗しい王族を支持したいだけならば、あまり知らない方が幸せなのかもしれない。政治の裏側は醜いものだ。綺麗事ですべて終われば良いが、そんなことはあるはずもなかった。

 日が暮れてしまった薄暗い室内で、俺は静かに獣化した。

 とりあえず、自分の荷物を置いていた部屋へと向かった。

 人化して予備の服へと着替え、すぐ近くで見張りをしていた部下から、俺を攻撃してきた例の侵入者を捕らえている地下への道を聞いた。

 姫か俺を狙った飛行する離宮の侵入者は、明らかに様子がおかしかった。

 現場で指揮をすべき俺が行かなくても、部下があの侵入者から既に情報を得ようと動いているはずではあるが気が急いた。

 これまでに様々な面々より恨みを買っているだろう俺が標的ならば、それはそれで良い。

 狙われたとしても、すべて返り討ちにすればそれで良いだけの話に終わる。

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