重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~

24 爪

「姫、凄いっすね。なんか噂に聞くところによると、正妃様もこれを見て凄く姫を褒めていたらしいっすよ」

「まあ……とんでもないわ。私は単に案を出しただけだもの。こうして整理整頓することが出来たのは、寝る間を惜しんで書庫整理に協力してくれた皆のおかげよ」

 私の隣で手放しで褒めてくれるデュークにやついてしまう口元を、ここは人前だったわとはっと思い返し、慌てて引き締めた。

 ついこの前に、将来を約束してくれたデュークは、王族の私に対して人前では敬語を使う。

 私は別にどちらでも良いと思ってしまうけれど、彼の身分を考えれば、それは仕方ないことなのだ。

 だから、私と二人きりの時のみ、本当のデュークの姿を見ることが出来るのだ。つまり、私だけしか本当の彼を知らない。

 そういったちょっとしたことだとしても特別な感情を抱いてしまうのは、何もかもデュークが素敵過ぎるせい。

 現在、私たち二人の目の前にあるのは、以前からどうにかならないかと思っていた城にある保管書庫だ。

 つい、何日か前まで何が何処にあるかわからないごちゃごちゃした状態で、本当に酷かった。書庫担当の文官が何人かすぐに辞めていってしまったせいで、どんどん酷くなってしまったらしい。

 けど、今は見事なまでにすっきりと片付けられ、種類毎に綺麗に分類されて記号と数字を合わせた書類番号まで、それぞれに付けられていた。

 実は私はこれまでに他国では、もっとわかりやすい分類方法が使われているのにどうして使わないのかしらと、心ひそかにずっと思っていた。

 離宮からの帰り道。

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