重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 物心つく頃には優秀だと言われる兄が三人既に居て、末っ子の私まで優秀であることは、ユンカナン王国の重臣は誰も望まなかったと思う。

 いずれ、王族から出ていく女は、ただ黙って着飾り美しくあれさえすれば良いと、私は彼らから幼い頃から無言の圧力を感じていたのだ。

 だから、何かを思いつき名案だと考えたとしても、これまでに誰にも言わなかった。それを喜ばない誰かがこの城の中に複数いる事を、私は知っていたからだ。

 王太子であるラインハルトお兄様は、妹の私が思って居ることの半分も言えていない現状を知れば、そんなことはないなんだってお前の好きなようにやれば良いと言うだろう。

 けど、私は血の繋がった兄からの溢れるような無償の愛に甘えることには、強い抵抗があった。

「デュークって、不思議。私が言って欲しいことを、言ってくれるの。私の心を読んでいるのではない?」

「……多分。そういったことを言う俺だから、姫は好きになったんじゃないすか。一目惚れって良く聞きますけど、結局のところ外見って、中身が出てしまいますからね」

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