重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 デュークと馴れ合うのはよせと言ったので『自慢の息子さんは、母似で良かったですね』と、やり返した私に彼はギリっと奥歯を噛み締めた。

 ヘンドリック軍務大臣の息子は、うら若い令嬢たちから高い人気を誇る貴公子で、身分も釣り合い年齢の近い私の降嫁先候補の筆頭と噂されていた。

 彼は私に将来的に結ばれる望みの低いデュークになどにうつつを抜かさずに、さっさと自分の息子に心を決めて早く結婚しろと言いたいのだ。

ーーーーーーーー本当に。私本人にしてみれば、とてもとっても余計なお世話だけど。

「……それでは、私はこれで失礼します。急ぎの仕事がありますので」

「ええ。ご多忙なのに執務室に向かわれているところ、邪魔して悪かったわ。どうぞ、今日もお仕事頑張ってくださいね」

 ヘンドリック大臣は黙ったままで王家への忠誠を誓う礼を取り、深いお辞儀をしてから去って行った。

 背を向けて歩くヘンドリック大臣も良く理解はしていることだけど、私の後ろに居る双子の侍女は、すぐに彼女たちの兄へとこの出来事を報告するはずだ。

< 16 / 216 >

この作品をシェア

pagetop