重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「いや……これは、良いっす。自分の過去の恋愛について、今の恋人に何かを言うことは、俺の一族では固く禁じられてるんで」

「ちょっと、もう。そこまで言って下手な言い訳を言わないで。気になるじゃない」

「はは。実は俺が恋人として付き合ったのは、姫が最初っす。これは、最後になると思いますけど」

 にこにこしてデュークが言ったので、ムッとしていた私は首を傾げた。だって、この前の時は完全に……。

「……え? けど」

 彼の動きは絶対に初めてではなかったと不思議そうな表情を浮かべた私に、デュークは肩を竦めた。

「すみません。平たく言うと、俺は素人童貞です。申し訳ありません。ご期待に添えず……引きました?」

「……いいえ。私も兄が三人居るので、男性の生理現象のようなものには、多少の理解があるわ」

「それは、別に関係ないと思うっすけど……まあ、姫の理解を得れて良かったっす。もう絶対に行かないんで、どうか安心してください」

「それは、私が居るのに、当たり前でしょう!」

 揶揄うような口調のデュークに、私が横目で睨んだら彼はにこにこして頷いた。そして、耳元にまで近づいて囁いた。

「この前は、流石に色々と我慢出来なかったけど……ちゃんと、初夜までは我慢するから安心して」

 それを聞いた私が途端に顔を赤くしたので、周囲を取り巻いていた人たちは微笑ましい視線で私たち二人を見ていた。


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