重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 書類にまみれるデュークの姿を見るたびに、私はいつもいつも彼が何をしているのか不思議だった。

 デュークはとても強いからこそ、抜擢された特別な戦闘職にあるはずなのだ。

 なのに、マティアスに怒られて書類を決裁している様子しか、数少ない特別な例外を除いて、私は見たことはない。

「アリエル姫。団長はしがない中間管理職なので、自分より上と下の折衝と遠征費用や備品などの書類も、一手に決裁されます。あと、団長は戦闘時は指揮官ですので実戦を訓練されるより、演習時に指揮を担当することが多いですね」

 白猫獣人のマティアスは、難しい表情になったデュークの代わりに、私の疑問に対しサラッと答えた。

「まあ……けど、デュークは最強と呼ばれるほどにとても強いのに……それでは、彼の戦闘力は勿体無くはないかしら?」

 むしろ、デュークさえ居れば、大軍を相手取ってない限りは作戦の指揮なんて要らないのでは? なんて、私は正直言えば思ってしまった。

「こう言った組織だと、上に行くほど泥臭いことをしなくて良くはなりますけど……俺も確かに、書類仕事は、退屈っすね……」

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