重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 けれど、王族の私が大々的にデュークの仕事に付いて行く訳にはいかないので、もちろんこれはお忍びでの出来事。

「……何だか、変な感じ。本当に、あの時の女の子だ。しかも、ちょっと成長してるし……魔法って、芸が細かい」

 今は二人きりなので砕けた口調のデュークは私の姿を下から上までまじまじと見て、何をどう感想を言った。

 彼が言った通り、私はデュークと初めて会った時にお忍びをした時の女の子に姿を変えて貰っている。

「ふふっ。流石にあの髪の色では、町中では目立ってしまうものね」

 兄と同じで磨かれた金属のような金髪は、厚い外套でもなければ目立ってしまう。こうして髪色まで変えて貰っていると、髪色を隠すことをしなくて良いし通りを吹く爽やかな風だって感じることが出来るのだ。

 ユンカナンの王都を出て、今はダムギュア王国に続く街道へと進んでいる。

 街を抜けたとは言っても、国同士が流通に多く使う道なので、旅人や旅団も多くざわざわと話し声はやまずに賑やかで、ただ流れていく人波を見ているだけで気持ちが浮き立った。

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