重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 この前に離宮へと移動した時もそうだったけど、私のような王族が公式に外に出るとなれば、多くの護衛が取り巻く仰々しい一団を引き連れて、危険がないか細心の注意を払いゆっくりとした速度で進むことになるのだ。

 今回は、身軽な小さな馬車に、私は御者台の上。ここに座りたいと言った時には、実は少々揉めた。

 けど、私が姿を変える魔法を使っているなんて、誰も思わない。それで強引に説得したデュークの隣に座れているのだ。

 怠惰なデュークは極力無駄なことはしたくないので、ここで言い合っても負けると思えば早々に負けることを選ぶ人だった。

 だって、ユンカナンでも、数人しか変身魔法は使うことが出来ない。

 これは、とても珍しい魔法なのだ。しかも、魔法使いは倫理的に無闇に使うことを禁じられている魔法でもある。

 今回は王族の身を守るために、特別に使用したらしい。

「まあ……アリエルが人目を集めるのは特別な髪色だけって訳じゃない。けど、こうしていたら、アリエルが……馬車の御者台に乗ってはしゃいでるなんて誰も思わないだろう」

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