重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 横目であきれたように見るデュークは御者台に座っただけだと言うのに、まるで子どものように楽しんでいる私が理解出来ないらしい。

 それは確かに、デュークの言う通りなのかも。けど、こちらは生まれて初めての出来事ばかりなのだ。

 見るもの全てが物珍しくて、はしゃいでしまっても仕方ないと思う。

「それは、そうでしょうね。私の名前はこの年頃では、ありふれていると言うし。デュークが名前を呼んだって、私だとは誰も思わないわよ」

「いや、それって……誕生したばかりの新しい王族の名前にあやかって、娘の名前に付けるのって良くあることだから。アリエルって言う名前が、ユンカナンで流行った原因さん」

 デュークが揶揄うようにそう言ったので、私は何も言わずに肩を竦めた。

 それは前に聞いたこともあるけど、別にそれは私だけではなく、三人の兄の誕生時にだって、起こっていることなのだ。

 王族が特別な存在だと言われれば、確かにその通りだ。別にそうなりたいと希望して、私は生まれて来た訳でもないけど。

 けれど、これは思っていても言ってはならないことだ。

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