重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 誰かの犠牲があって恵まれているという立場を「自分は、こんなこと望んでもいなかったのに」と嘆くことが、どんな風に見られてまうのか。

 私たちは、いつも国民に支持してくれていることに礼を言い、その他の想いは口を噤むしかない。

「ダムギュア王国って、獣人があまり居ないって聞いたけど……」

 不意にそれを思い出した私は、デュークがダムギュア王国に指名して呼ばれたと聞いた時から、懸念していたことを言った。

「ああ……俺らも敢えて、あの国には近づかない。今では多少はマシになったとは言え、大昔、獣人を捕らえては虐待して楽しんでいたっていうのは……事実らしいから。だから、ユンカナン王国を創国したアリエルのご先祖様は、そういうことを見かねて、この国を創った……だろ?」

「それは、私だって歴史の授業で学んだわ。どうして、そんなことをするのかしら。わざわざ身体の特徴のみで虐待を? 理解に苦しむわ」

 ユンカナン王国では人が王族ではあるけど、建国の経緯から地方を治める貴族のほとんどは獣人なのだ。なので、人と獣人は同列として考えられて目立った差別などもない。

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